思いだけあたたかい
思いだけあたたかい
辛いことがあっても、夜が明けると外は明るい。朝ご飯をとり、新聞を読む。弁当をかばんにつめこみ、家を出る。駅までの道のりは、単なる通勤・通学の時間ではない。それは、大地を踏みしめるエクササイズの場だ。
電車の窓から、外を眺める。風景が素早く流れていく。それを、目で追うことはしない。自分の住む街が後ろへ行くように見えるからだ。急行だって各駅停車だって、ターミナルへ向かっている。かかる時間は違っても。
長年同じ腕時計を、相棒として左につけている。古いものだけど、丈夫でまあまあ正確だ。ゼンマイ動力のそれを見る。そんな、時刻を確認する回数が少ないほど、余裕のある日なのかもしれない。
街で、学校で、職場で、普通のあいさつがかわされることが、ただうれしい。梅雨の合間の気候もすがすがしい。ほんの少しのあたたかさが感じられるようになった季節を迎えた。われの思いとて、かくやあらん。
(やすだ)
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